熟年離婚 夫から突然離婚を切り出された。回避する方法は?
夫の定年退職後、いざ夫婦で楽しい老後を送ろうとしていた矢先、夫から突然離婚を切り出されたとなれば、ひどく戸惑うことでしょう。
できれば熟年離婚は避けたいところですが、離婚となった場合、老後の生活に苦労するか、しないかは、財産分与や慰謝料などの獲得金額により大きく左右されます。
また、男性が離婚を切り出す場合、往々にして親しくしている女性がいる可能性が高いというのも事実です。
ひとりで悩まず、離婚時の取り決めや探偵に依頼したほうが良いのかなど、早めに弁護士に相談しましょう。
夫が熟年離婚を切り出す理由
「一緒にいるのが苦痛」
「精神的に虐待する」
「妻の面倒(将来の介護)をみたくない」
「異性関係」
などを理由に離婚を切り出す男性が多いようです。
熟年離婚を回避する方法
・関係修復の意志を伝え、改善に向けた話し合いをする
・熟年離婚による男性側のデメリット(財産分与や年金分割など)を説明する
・勝手な離婚を防ぐ
離婚届不受理申出という制度があります。
協議離婚の場合、事前に申出をすることで、夫が勝手に離婚届を提出したとしても離婚届は受理されません。申出先は、申出人(妻)の本籍がある市区町村です。
有効期限はありませんので、申出人が取り下げるか、調停などで離婚が成立しない限りは有効となります。
財産分与や老後ひとりで生活するリスクを理解した上で、夫側から離婚を切り出したとなれば、かなり固い意志であることが考えられます。
残念ながら離婚を回避できそうにない場合は、早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。
離婚するしかない場合
財産分与、年金分割、慰謝料など、きちんと取り決めをしましょう。
①財産分与
婚姻中に築きあげた財産を共有財産といいます。
離婚時または離婚後に共有財産を清算することを財産分与といいます。原則、2分の1ずつに分けられます。
自宅や車のように、それ自体を半分に分けることができない場合、いずれか一方が物を取得し、他方に対して代償金を支払うことになります。
熟年離婚の場合、住宅ローン完済済みの自宅不動産が夫婦の財産となる場合があります。
自宅は、住む場所の問題でもあり、上記のような清算の対象でもあります。自宅の扱いに頭を抱えているという方は一度弁護士に相談してみた方がよいでしょう。
②年金分割
婚姻中に夫婦が収納めた厚生年金の「年金保険料」を分け合う制度です。
詳しくは、離婚時の年金分割についてをご参照ください。
③慰謝料請求
年齢的に性的な関係まではなくとも、夫婦関係をないがしろにして女性と交流を深めている場合、慰謝料請求を求める理由になったり、離婚を拒否する理由になります。
弁護士に相談し、探偵への調査を依頼すべきか検討しましょう。
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。