離婚時の年金分割について

 

1、年金分割手続(合意分割)の手続きの流れ(3STEP

STEP1 年金事務所で「年金分割のための情報通知書」を請求する

STEP2 分割割合を定めた書類を作成する

STEP3 STEP2の書類を持って年金事務所に標準報酬改定請求書を提出する

 

2、離婚時に行う年金分割の種類

年金分割とは、婚姻中に納めた年金保険を分け合って、それぞれ自分の年金とすることができるという制度です。

年金分割には、当事者の合意が必要な「合意分割」と、合意が不要の「3号分割」の2種類があります。

 ここでは「合意分割」の内容、必要書類、手続き方法についてご説明いたします。

 

合意分割とは

合意分割とは、婚姻期間中の厚生年金記録を分割する制度です。合意分割では、当事者の合意により分割割合を決めることができます。

もっとも、分割割合は、0.5(50%)が原則であり、それ以外の分割割合にすることはほとんどありません。

※合意分割は離婚後直後でなくとも手続きすることは可能ですが、離婚した日の翌日から2年を経過していない必要があります。

▶夫婦での話し合いでは、合意できなかった場合

家庭裁判所に審判・調停の手続きを申し立てて按分割合を定めることができます。

 

 

3、年金分割手続(合意分割)に必要な書類

離婚後、合意分割をするためには下記の書類が必要です。

必要書類

①標準報酬改定請求書

「標準報酬改定請求書」(以下、「請求書」といいます)のなかの、「請求する年金分割の種類」の欄の「合意分割」に○をつけ必要事項を記入します。

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/kyotsu/20181011-05.files/13_651.pdf

 

②マイナンバーカード等(請求書にマイナンバーを記入したとき)

請求書にマイナンバーを記入したときは、マイナンバーがわかる書類が必要です。

 

③年金手帳または基礎年金番号通知書(請求書に基礎年金番号を記入したとき)

請求書に基礎年金番号を記入したときは、年金手帳または基礎年金番号がわかる書類が必要です。

 

④婚姻期間を明らかにできる戸籍謄本等

具体的には、戸籍謄本・戸籍抄本・戸籍の全部事項証明書・戸籍の個人事項証明書などのいずれかが必要です。(*婚姻期間は、離婚後の元夫の戸籍に記載されている場合が多いです。請求日から1ヶ月以内に作成されたものを用意しましょう)

*事実婚関係にある期間の合意分割を請求する場合には、住民票等、事実婚期間を明らかにできる書類が必要になります。

 

⑤請求日から1ヶ月以内に作成された戸籍謄本等

年金分割手続きをする2人の生存を証明する書類として、請求日から1ヶ月以内に作成された戸籍謄本・戸籍の全部事項証明書・戸籍の個人事項証明書などが必要です。

*請求書にマイナンバーを記入することで上記書類は省略できます。

 

⑥分割割合を明らかにする書類

◆話し合いにより按分割合を定めた場合((1)~(3)のいずれか1つ)

(1)年金分割の合意書(署名した合意書を2人で直接持参または2人の代理人が直接持参する)

*「年金分割の合意書」は、日本年金機構のホームページから書式をダウンロードできます。

https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/todokesho/kyotsu/20181011-05.files/01.pdf

(2)公正証書の謄本・抄録謄本

(3)公証人の認証を受けた私署証書

◆裁判所の手続きで按分割合を定めた場合((1)~(2)のいずれか1つ)

*この書類がある場合は、合意分割であっても2人のうちの一方だけで手続きをすることが可能です。

(1)審判書・判決書の謄本または抄本と、その確定証明書(審判または判決の場合)

(2)調停調書・和解調書(調停または和解の場合)

 

⑦年金分割を請求する人の本人確認ができる書類

年金分割請求者の本人確認ができる書類

(運転免許証・パスポート・マイナンバーカード・印鑑登録証明書など)

*代理人が請求する場合は、代理人の本人確認書類と委任状(年金分割の合意書請求用)、委任状に押された印鑑の印鑑登録証明書が必要です。

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この記事の執筆者

弁護士山口恭平

あい法律事務所

弁護士

山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)

取扱分野

家事案件(離婚・男女問題、相続)

経歴

法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。