離婚のタイミング
離婚を考えている方にとって、離婚のベストなタイミングはいつなのか気になると思います。
お子様の有無やご夫婦を取り巻く環境など、ご家庭によって最適なタイミングはさまざまです。
今回は、お子様がいる場合とご夫婦のみの場合、それぞれのタイミングなどについてご説明いたします。
○お子様がいるご夫婦の場合
<小学校就学前 0~5歳頃>
◎お子様への影響
・氏の変更
親権者(母親とします)が旧姓に戻る場合、子どもも母親の旧姓に変更するケースは少なくありません。
子どもが幼い場合、自身の名字(氏)にこだわりがない時期のため、氏を変更しても大きな影響がないことがほとんどです。
・元配偶者(多くは父親)との記憶
子どもの年齢にもよりますが、記憶力や理解力が未熟なため、父親と会わない期間が長くなると忘れてしまうことがあります。
これをメリット・デメリットのどちらに捉えるかは、状況によりさまざまですが、
子どもが成長し、ライフイベントの中で、父親の名前が記載された戸籍を目にしたとき、認識している父親とは違うなどの状況があれば、それまで母親と培ってきた母親(や継父)との信頼関係などに影響があることも考えられます。
・生活環境の変化
子どもへのフォローは必要ですが、子どもの順応性は、親が思う以上に高く、新しい環境下(幼稚園や保育所など)の生活に慣れていきます。
可能であれば、事前に転居先で子どもに合う園があるか、空き状況などを確認しておくと良いでしょう。
◎離婚後の生活
・特に専業主婦やパート勤務の場合、離婚後の生活や子どもの将来に必要な資金を確保するため、経済的問題が生じないか事前に考えておくと安心です。
・子どもの将来に不利益が生じないように、養育費の取り決めをしましょう。
・ひとり親家庭に対する公的扶助を利用しましょう。
*リンク:母子手当のもらい方(高松市の場合)
<小学校以降>
◎お子様への影響
・氏の変更
小学校就学前のお子様と同様に母親の旧姓に変更する場合、進学のタイミングであれば、新たな環境でのスタートとなるので、名字や離婚について、周りから触れられる可能性は少なくなります。
・思秋期や受験時期と重なる
思春期ならではの感情の変化や受験によるストレスなど、自分ではコントロールできない苛立ちを抱えることが多くなる時期があります。
両親の離婚と重なる場合、通常よりもしっかりと子どものケアをする必要があります。
なかには、子どもの受験が終わるのを待って、離婚を進めるといった考えをもたれる方も少なくありません。
・生活環境の変化
引越しや転校を伴う場合、子どもの友人関係や進路などにも大きく影響が出ます。
高校生、それ以上の年齢であれば、自分なりに乗り越えることができる場合もありますが、進路に悩んだときに親に相談しづらい雰囲気などから、自ら選択肢の幅を狭めるといったマイナス面が出ることもあります。
年齢に問わず、子どもへの影響やストレスが少ない方法で、スムーズに新生活を送らせてあげられる方法を考えたり、親子で十分な話し合いの時間を設けるなど、親が子どもに愛情を注いでいることを示すことが重要となります。
◎離婚後の生活
・養育費の取り決めをしましょう。
・子どもが18歳まで(医療費助成は20歳まで)の場合、ひとり親家庭に対する公的扶助を利用しましょう。
*リンク:母子手当のもらい方(高松市の場合)
〇ご夫婦のみの場合
緊急性がない限り、お互いにベストだと考えるタイミングで離婚をすることができます。
ただし、トラブルなく円滑に離婚を進めるためには、話を切り出す前に、しっかりと準備をしておく必要あります。
ご夫婦のみであっても決めなければならないことはいくつもあるため、時間をかけて話し合いを進めていこうという気持ちが大切です。
◎離婚を切り出す前に検討(準備)すること
①婚姻費用
別居をした場合には、離婚に至るまでの間、生活費(婚姻費用)を請求することができます。
別居していても離婚に至っていない以上は、子どもだけでなく、配偶者の生活費の負担義務があります(双方の収入に応じて)。
離婚の話し合いがスムーズに進まない場合、離婚成立までに、半年以上の期間がかかることになることも珍しくないため、忘れずに請求するようにしましょう。
②共有財産の確認
夫婦は、離婚する場合、婚姻中に築いた夫婦の財産を清算します。
財産分与をする場合、お互いの財産を全て開示しなければ、公平公正な分与を実現できません。
しかし、相手が正直に自分の財産を申告してくれるとは限りません。そのため、前もって相手の財産に関する資料を集めておくとよいでしょう。
③離婚後の居住先
引っ越す場合は、すぐに新しい生活のスタートが切れるように、事前に居住先を探すなどしておくと良いでしょう。
④離婚後の姓
婚姻中の姓を名乗るのか、旧姓に戻るのか、あらかじめ考えておくとよいでしょう。
*リンク:離婚後の名前(氏)について
⑤不貞やDVなどの証拠集め
配偶者に、不貞行為が疑われる場合やDVなどの精神的・肉体的な暴力があるなど、相手方が有責配偶者となりうる場合は、証拠を確保しましょう。
⑥サブスクなどの契約関連
契約名義の変更や引き落とし先口座の変更が必要になるものがあります。あらかじめリストアップしておくとよいでしょう。
◎離婚後の生活
・経済的自立の準備
離婚時、財産分与や慰謝料が発生する可能性はありますが、基本的には、離婚後、継続的に相手から金銭を受け取ることはありません。
自分ひとりの収入で生計を立てることができるのか、事前にシュミレーションしておくとよいでしょう。
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。