~離婚の切り出し方~
離婚の切り出し方で大切なのはタイミングです。
例えば喧嘩の最中は互いに感情的になっているので離婚話をすすめるタイミングとしてよくありません。
「もう離婚だ!」と言いたくなることもありますが、その後の条件を決める話し合いが上手くいかないことは目に見えていますのでやめましょう。
相手が聞く耳を持ってくれないかもという不安がある方へ
相手が離婚に応じてくれなさそうな場合であっても、離婚するためには、説得による協議をはじめる必要があります。
協議で解決しそうになければ、離婚調停・離婚訴訟など裁判手続による離婚請求へと段階をすすめます。
要するに、相手が離婚に応じてくれるまで何らかの手段で、交渉・手続きを続けなければなりません。
長期化する恐れもありますが、その間、夫婦は同居しなければならないのでしょうか。
当事務所では、貴方の離婚意思が固く復縁するつもりが本当にないなら、離婚前であっても別居をすることをお勧めしています。
当然、離婚を求める理由が、配偶者のDV・虐待などの場合、心身の安全の確保のため、早期に別居するべきといえます。
他方、そうした危険のない場合でも、
①相手との同居によるストレスから解放されること
②別居期間が長期に及べば、裁判で離婚請求が認められる可能性が高くなること
③こちらの離婚の意思が固いことを示せるため離婚に応じない相手も真剣に受け止めるようになること
など、別居することは、離婚にむけた第一段階としてのメリットがたくさんあります。
しかし一方で、婚姻中に配偶者と生活を分離させますので、
①同居時よりも経済的に苦しくなる
②相手方から同居義務違反を主張されてしまう
③相手方が財産を隠してしまう
などのデメリットもあります。
相手方へ離婚・別居を切り出す前に、一度弁護士相談をご検討ください。
夫婦の状況に応じ、離婚の切り出し方や、別居のタイミング、別居後の生活費(婚姻費用)の確保についてなど、多方面から的確にアドバイスさせていただけます。
どのような順序で話したらいいのか分からない方へ
❶まず、離婚したいという気持ちを伝えましょう。
ここで重要なのは、感情的ならず、冷静に淡々と伝えること。
静かに冷静に切り出すことで、次の「❷離婚したい理由」の説明に入りやすくなり、相手も聞く耳を持つ心構えができやすいのです。
❷次に「離婚したい理由」を伝えます。
ここまで相手が冷静に話を聞いてくれた場合、以下のことを留意し、話し合いを掘り下げていきましょう。
◆事実関係から主張を伝える
事実(「家庭を顧みない」「育児を分担しない」など)を冷静に整然と伝え、離婚したい理由として伝えましょう。
「実際に夫婦間に発生した問題」は、相手も心当たりのある事実であるため、離婚の納得材料に大きく影響する可能性あります。
また、そうすることで、「いかにお互いが夫婦として合っていないか」という話にスライドしやすくなるのです。
◆感情的にならないこと
冷静でいることで、話し合いが「罵り合い」や「人格否定の応酬」に発展することを回避することができ、早期問題解決を図ることが出来ます。
◆相手に流されないこと
事前に話す内容や提示する条件を決めておいても、相手がその通りに話を受け入れてくれるとは限りません。
逆に、相手から思いも寄らない提案をされ、そのまま流されてしまう可能性もあります。
話し合いに際して、予期せぬ提案をされる心構えをしておき、相手に流されてしまわないよう意識しましょう。
◆1日で決着しようとしない
短期決着を期待しすぎないようにしましょう。
もし離婚を切り出した時に話し合いに応じてくれないようであれば、また別の機会に話し合いの時間を設けましょう。
◆相手に考える時間をあげましょう
離婚話は相手にとってまさに「寝耳に水」という可能性もあります。
また、相手にとっても簡単に決められる問題ではありません。
「早く早く」と急かしてしまうと、相手が混乱したり、思考力が低下する可能性もでてきますので、かえって結論まで時間がかかる場合もあります。
早くしたいからこそ、相手に考える時間をあげるようにしましょう。
◆伝達手段を適切に選ぶ
相手と顔を合わせるとうまく話せない場合であっても、LINEやメールなどの文章でのやり取りであれば、相手の発言を見返しやすく、相手のペースに巻き込まれることなく話し合いを進めることが出来る可能性もあります。
直接伝えるのが難しい場合に、どちらかの親族や共通の友人などに間に入ってもらうことも考えられます。
相手方もその人を信頼しており、間に入ることに同意している場合には、そのような立場の人に間に入ってもらうことで冷静に話し合いができる可能性があります。
しかし、当事者双方が納得感を持った状態で中立の立場で話しをするというのは大変難しいことです。
間に入った人にその意図がなかった(法律上も公正妥当な意見を述べている)としても、自分の意見に同調してくれなかった場合、相手方の味方をしている、と考えてしまいがちです。
年間150件程度の相談を聞いている私が経験したケースでは、間に誰かが入ったことで、むしろ、話しがこじれてしまった、と感じる事例の方が多いです。
正しい法律知識を備え、当事者双方に中立であることに疑義を抱かせないような立ち居振る舞いが出来る人、というのはそうはいないということです。
◆弁護士を活用する
離婚の切り出し方として弁護士に相談・依頼をすることもご検討ください。
弁護士が介入することで、離婚に対する本気度が相手に伝わります。
また、相手と会いたくない場合や、交渉が感情的になり長期化しそうな場合もぜひ活用されることをおすすめいたします。
❸離婚条件を決めていきます。
離婚について、双方合意ができましたら、今度は離婚条件をすり合わせていく必要があります。
離婚条件は、法律に沿った、公平で、かつ離婚後の自身の生活の展望に合った、具体的な内容である必要があります。
相手が不当な主張をしてきても受け入れる必要はありません。
とはいえ、個人間で法的なことについて話し合うことは非常に困難です。
有利に離婚をすすめるためにも、弁護士に離婚交渉を依頼することをお勧めします。
そうすることで、高額な慰謝料や財産分与を獲得したり、子どもの親権を獲得したりしやすくなります。
また、弁護士は、将来の経済的な生活設計(経済面、子どもの養育面など)を視野に入れた上で、離婚条件として取り決めておくべきポイントを熟知しています。
離婚後、後悔しないためにも、一度ご相談いただければと思います。
③ 離婚を切り出した場合の相手のリアクションを想定したシミュレーション
まずは、離婚を切り出す前に、相手のリアクションをシミュレーションしてみましょう。
夫婦であれば、相手の性格をよく知っていますので、どのようなリアクションをするかは想像できると思います。
①怒り出す
②無視する
③考え込む
④泣き落とす
⑤(人によっては)冷静に話し合いに応じる
など、様々な想定が出来ると思います。
しかし、「想像してみたけれど、どうもうまく話合いができる展望が見いだせない」という場合には、一度、弁護士への相談を推奨いたします。
取れるベストな方法・条件で離婚を進めていくお手伝いを致します。
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。