離婚の種類と特徴
○離婚に至る過程は以下の4つの種類があります。
協議離婚:夫婦が合意して離婚する手続きです。離婚届を提出することによって成立します。
調停離婚:協議がまとまらない場合、裁判所の調停員を介して再度話し合う手続きです。
調停員が仲裁役となり、合意が得られれば調停離婚が成立します。
審判離婚:調停でも合意が得られない場合、裁判所が離婚の適否を判断する手続きです。
裁判所が離婚を認める審判を下し、一方が異議を申し立てない限り成立します。
裁判離婚:夫婦の合意や調停でも解決できない場合、裁判所で訴訟を起こし、裁判官が離婚を判断する手続きです。裁判所の判決によって離婚が成立します。
○協議離婚
協議離婚は、夫婦が互いに合意し、円満に離婚する手続きです。以下に、協議離婚の手続きや特徴について詳しく説明します。
合意形成と離婚届提出:夫婦が離婚することに合意した場合、高松市役所などの市役所に置いてある離婚届やインターネットからダウンロードした離婚届に必要事項を記入します。
離婚届を市役所に提出することで離婚が成立します。
離婚協議(離婚条件の合意):離婚届を提出する前に、夫婦間で離婚に関する様々な事項について協議を行います。
これには財産分与、親権・面会交流の取り決め、養育費の額などが含まれます。
協議内容の確定(離婚協議書の作成):財産分与や親権などの協議がまとまったら、その内容を文書にまとめます。
この文書を「離婚協議書」と呼びます。協議書には合意事項が明記され、双方の同意が得られたことを示します。
協議離婚は、夫婦の合意が基盤となるため、円満な離婚が可能ですが、合意に達しない場合や離婚手続きが複雑な場合は、調停へ移行することも考えられます。
○調停離婚
調停離婚は、夫婦が当事者同士での協議では合意に達することが出来なかった場合に、裁判所の調停員を介して争点を調整し、解決を図る手続きです。以下に、調停離婚の手続きや特徴について詳しく説明します。
家庭裁判所への申立書の提出: 一方の当事者が裁判所に調停の申立てを行います。
これにより、裁判所は離婚に関する調停手続きを開始します。離婚調停は、相手方の住所地を管轄する裁判所に申立をします。
相手方が高松市在住であれば、高松家庭裁判所に申立書を提出します。
調停委員: 男女各1人の調停委員が選ばれ、夫婦の話し合いを進める役割を果たします。
調停期日: 調停委員が進行役となり、夫婦が調停期日に出席し、離婚に関する問題を話し合います。
この際、夫婦は同席せず、順番に調停委員と話をします。
調停委員は中立的な立場から双方の意見を聞き、適切な解決案を模索します。
調停の成立: 調停期日で合意に達することができれば、調停調書(成立)を作成します。
調停調書には、財産分与、親権・面会交流、養育費などの具体的な合意内容が記載されます。
合意に達することが出来なかった場合: 調停期日で合意に至らなかった場合でも、調停員は双方の意見を基に中立的な立場から離婚条件の案を助言します。
それでも、合意が得られない場合、不成立ということになり、調停は終了します。
調停調書(離婚届提出用)の提出: 調停調書が作成されたら、離婚届と合わせて調停調書を市役所に提出します。
協議離婚の場合と異なり、離婚成立日は、離婚届を提出した日ではなく、調停成立日となります。
調停離婚は、夫婦が話し合いを重ねることで合意を形成しようとする手続きです。調停委員の存在が、中立的で専門的なアドバイスを提供する役割を果たすため、対立を緩和し円満な離婚を促進する役割を果たします。しかし、合意に至らない場合は、離婚訴訟の手続きへと移ることもあります。
○審判離婚
調停離婚の補充的な位置づけのため、審判離婚を目指す、ということはありません。
具体的には、審判離婚には2つのパターンがあります。
1つは、離婚の条件など僅かな差で調停が成立しない場合に、裁判官が審判というかたちで着地点を示します。
この審判は当事者が異議を出さない限りにおいて有効とされているため、結局は当事者が離婚したくないということから異議を出せば離婚は成立しません。
第三者的には僅かな差でも、当事者にとっては譲れないからこそ、調停が成立しないのですから、
このかたちで審判離婚が成立することはほとんどありません。
2つ目は、合意には達したけれど、本人が調停に出席できない場合
(遠隔地に住んでいる場合や相手方と会ってしまうのが怖くて代理人弁護士のみ出席している場合など)に、
調停に代わる審判というかたちで、調停を終結させることがあります。
こちらのかたちでの審判離婚は珍しくありません。
○裁判離婚
裁判離婚は、離婚調停でも解決できなかった場合に、裁判所に訴訟を提起して行われる離婚手続きです。以下に、裁判離婚の手続きや特徴について詳しく説明します。
訴訟の提起:一方の当事者(原告)が裁判所に対して離婚訴訟を提起します。
訴訟の際には、離婚することに加えて、親権、養育費、財産分与、慰謝料などの請求内容及び離婚の理由並びに関連する事実を記載した文書(訴状)を提出します。
被告への通知:提起された訴訟に対して、相手方(被告)に対して通知が行われます。
被告は一定期間内に反論書面を提出することができます。被告が反論しない場合、訴状の内容を認めたものとみなされ、原告の請求内容が認められてしまいます。
審理:当事者は、基本的には交互に主張(反論)と立証をします。裁判所は、争点を整理するなど進行を主導します。
判決:一般的には、原告被告の当事者尋問を経た後に、審理が終結します。
裁判所は、離婚の可否およびその他の請求について判断した判決を下します。
裁判所が離婚を認める判決を下した場合、その判決が確定すれば、判決に基づき離婚が成立します。
判決の確定:判決が当事者に送達された後、2週間以内に控訴を行わなければ、判決が確定します。
判決内容が確定すれば、離婚が法的に成立します。
裁判離婚は、訴訟手続きを経て裁判所が最終的な判断を下す方法です。
訴訟過程においては、法的な手続きや論点が絡むため、専門的な知識が求められます。弁護士の助言を受けることが推奨されます。
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。