熟年離婚 年金分割で年金の半分がもらえる?

 

子どもの自立や配偶者が定年退職を迎えたことで、離婚を選択し、老後は自由気ままに生きたいと思われる方は多いのではないでしょうか。

熟年離婚の場合、老後資金の確保は必要不可欠です。

離婚が成立すれば、精神的にはスッキリするかもしれませんが、はたして年金だけで生活していけるのでしょうか。

ここでは年金分割について、モデルケースなどをもとにご説明いたします。

 

○年金分割制度とは?

⑴3号分割                                                                                            

婚姻中、第3号被保険者期間がある方(専業主婦や配偶者の扶養内で働いている方)

は、相手方の合意は必要なく分割可能です。

ただし、200841日以降の記録が対象となるため、熟年夫婦の場合は、それ以前に結婚されている方が多いと思います。

2008年41日以前に納付した分は合意分割で分けることになるため、合意分割を請求したほうが有利です。

もっとも、相手が分割割合に合意せず、合意分割と3号分割で大した差が生じない場合は、あえて3号分割だけを選択することも考えられますが、やみくもに手続きを取るのではなく、事前に専門家に相談してから手続きをしましょう。

 

⑵合意分割

  夫婦の合意によって決めるものです。

合意がない場合は、家庭裁判所に審判の申し込みをして、裁判所に決めてもらいます。

分割割合は2分の1と決定されることがほとんどです。

 

*⑴及び⑵に該当する場合は合わせて請求することができます。

*年金分割の請求期限は、「離婚をした日の翌日から2年」を経過すると請求することができません。

 

○老後の生活に必要な金額は?年金分割でもらえる金額は?

 

まず、総務省によると65歳以上の単独世帯(無職)で必要な生活費は、平均月15万円ほどといわれています。

はたして、年金分割でもらえる金額でまかなえるのでしょうか。

モデルケースをもとにご説明いたします。

 

<Aさん・専業主婦(国民年金 第3号被保険者)の場合>

婚姻期間:25年

 夫:会社員(国民年金 第2号被保険者)

婚姻期間の平均標準報酬月額:36万円

婚姻期間分の厚生年金:年間769500

年金分割で、Aさんが受け取れる年金は、年額約38万円(月額3万円強)です。

Aさん自身の年金(国民年金)が約5万円とした場合・・・

 

★Aさんの年金収入:8万円程

 

Aさんの場合、年金収入のほかに月7万円程を確保しなければなりませんが、毎月7万円を工面するのは、決して容易いことではありません。

離婚後、安心して生活を送るためには、財産分与で婚姻中に築いた財産を確実に取得する必要がありますが、熟年夫婦の場合、夫婦で築いてきた財産は多く煩雑なため、当人同士では話がなかなか進まない、分与の結果、大損していたということも考えられます。

財産分与で損をしないためにも、まずは専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

087-832-0550受付 平日9:00~19:00あい法律事務所(香川県弁護士会所属) 最寄り駅:琴電/瓦町駅 JR/栗林公園北口駅

この記事の執筆者

弁護士山口恭平

あい法律事務所

弁護士

山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)

取扱分野

家事案件(離婚・男女問題、相続)

経歴

法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。