不倫をした相手に離婚を求められた場合
○有責配偶者からの離婚請求は原則認められない。
あなたが離婚したくない場合、離婚に同意さえしなければ、離婚調停、離婚裁判をしても離婚は成立しない、というのが原則です。
浮気された挙げ句、一方的に離婚を押しつけられるのでは、ふんだりけったりだ、というのがその理由です。
○有責配偶者からの離婚請求が認められてしまう場合
不倫した側からの離婚請求が絶対に認められないかというとそうではないので注意が必要です。
① そもそも、不貞関係になった時点で、別居状態になっており、夫婦関係が破綻していた場合、不倫のせいで夫婦関係が破綻したとは言えませんので、離婚請求は認めらてしまいます。
② 次に、離婚を認めても、不倫をされた側(あなた)に酷ではないと評価できるような場合も離婚請求が認められてしまいます。
では、どのような場合に、酷ではないと評価されてしまうのかというと、不倫をきっかけに別居状態となり夫婦の実態が失われてから何年も経過している、不倫をされた側が未成年者の監護に時間と労力を大きく割かれている状態ではない、相手方が相当な慰謝料の支払いをすると申し出ている、などの事情を総合的に考慮して判断されます。
○いずれは離婚したいと思っている場合
相手方が早く離婚したいと思っている状態であれば、通常よりもいい離婚条件を勝ち取れるかもしれません。不倫された上に離婚してやるのは、納得がいかないかもしれませんが、今の有利な立場を生かさないのはもったいないかもしれません。
では、具体的にどのような離婚条件であれば、何年後かの離婚と比べていい条件での離婚といえるのでしょうか。とにかく理想の離婚条件を提示するだけでは、相手もだったら離婚せずに何年間か待ってそれから離婚しよう、ということになってしまいますので、適当な水準である必要があります。では、どの程度の水準が適当かといえば、これは、自宅・住宅ローンの存在、その他の財産状況、子どもの年齢・進学見込み、離婚後の収入の見通し、など諸般の事情を考慮する必要があり、相談者の状況によって変わってきます。
不倫した相手に離婚を求められた場合、離婚することも視野に入れているのであれば、早急に、弁護士に相談することをおすすめいたします。
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。