相手と直接やり取りせずに面会交流を実施する方法
(面会交流支援センターの利用について)
面会交流とは、離婚や別居で一方の親と離れて暮らす子供が、その親と面会を含む親子としての交流を行うことです。
❶第三者機関の介入なしで面会交流を実施する場合
夫婦が別居または離婚後、子どもとの面会交流を実施するには、元配偶者との細々とした調整(日程、子の受渡場所、実施場所、病気などによる中止の連絡、日程・時間帯の変更や次回交流日の擦り合わせ連絡など)が必要となります。
夫婦関係が破綻している場合、そのやりとり自体が大きな負担になることも決して珍しいことではありません。
また、夫婦間で面会交流に合意があり、運用ルールの取り決めをしていても、各回ごとの連絡調整がずれてしまうとトラブルの原因になりかねません。
そのため、面会交流を円滑にすすめるためには、第三者機関の介入が望ましい場合もあります。
❷面会交流支援センターの概要
高松市の支援センターとして、「NPO法人面会交流支援センター香川」があります。
同センターでは面会交流のための連絡・調整・子どもの受け渡し、付き添い、見守りなどの支援を行います。
※面会交流は「さぬきこどもの国」(香南町由佐3209)で実施します。
❸具体的な支援態様
支援形態には3つの型があります。
<付添型>
お互いに顔を会わせることが困難な場合や連れ去りが心配な場合は、安心安全な場所で男女ペアの支援員2人が付き添って面会交流を支援します。
もちろん、連絡調整も行います。
<受渡型>
付添型と違う点は、支援員が面会交流の現場に立ち会わないことです。また、付添型の面会時間は4時間が限度ですが、受渡型の場合は、時間制限がありません。
どちらの場合でも緊急連絡には対応しますし、連絡調整も行います。
<連絡調整型>
両親が直接連絡を取り合うことが難しい場合、支援員が日程調整などの連絡調整を行います。
❹NPO法人面会交流支援センター香川の利用手順
(1)電話での問い合わせ
NPO法人面会交流支援センター香川(☎090-1006-1190/受付時間:午前8時30分~午後8時30分)に電話し、事前面談の日程調整をします。
(2)平塚中央公園管理事務所会議室(高松市木太町5092ー1)で事前面談
*住所近くの喫茶店などでも事前面談を実施してくれることもあります。
*父母は個別に、心配事やお子さんの状況などお話しいただきます。
*面談前に、受付票、支援申込書に必要事項を記入の上、双方が守るべきルールの説明の後、支援契約書の作成をいたします。
*父母の面談は個別に行いますので鉢合わせすることはありません。
*事前面談の持参物
※支援センターの利用には、裁判所・弁護士による証明があることが前提となります。(下記①参照)
①面会交流の話し合いの段階により、下記のいずれかの証明書等
・調停等が成立している場合:調停調書、審判書(裁判所発行)
・裁判中である場合:中間合意書、任意の合意書、事件係属証明書等(裁判所発行)
・協議中である場合:協議中証明書(弁護士発行)または弁護士からの連絡
②印鑑、事前面談料
③高松市の面会交流支援事業の利用が可能な方は、『児童扶養手当証明書』、『所得証明書』
※概略は、『公的支援』(https://menkai-kagawa.com/cost/)をご覧ください。
(3)初回の面会交流日を調整
❺スムーズな面会交流実施のために
父母が当人同士で調整が難しい場合、支援センターを利用すると、相手との直接的なやり取りがなくなり、心配事が減ることによりストレスが軽減するといったメリットがあります。
父母の笑顔が増えれば、子どもも純粋に面会交流を楽しむことができます。
別居親と子との面会交流は、子の健全な育成に有益なものであり、その実施によりかえって子の福祉が害されるおそれがある場合を除き、継続的に行われるべきとされます。
父母の話し合いによる解決が見込めない場合は早めに弁護士に相談しましょう。
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。