10年以上別居しているのに婚姻費用を支払わなければならないのか
10年以上別居していて、ほとんど顔を合わせることもなかったのに、
突然、婚姻費用を請求されてしまった、というようなケースの場合、婚姻費用を負担することに躊躇を覚える方もいらっしゃいます。
たしかに、夫婦関係が破綻している場合には、婚姻費用は支払わなくてもよい、という学説もあります。
しかし、今のところ、この考え方は家庭裁判所では通用していません。
現行民法は、婚姻関係にある限り、当事者双方に婚姻費用の分担義務を課しており、
婚姻費用の分担義務が失われるのは、離婚時であるべきと理解されています。
夫婦関係が失われて久しいとしても、通常通り、婚姻費用算定表(https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html)
に従って、負担する必要があります。
ただし、「相手方の不貞が原因で別居になった」など、別居の責任が相手方にある場合には、
婚姻費用の負担を拒否することも可能です。
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。