離婚時に必要な養育費と相場
1 養育費の取り決めをしている割合
厚生労働省による「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、養育費の取り決め状況は、
《母子世帯の母》 「取り決めをしている」が 46.7 %
《父子世帯の父》 「取り決めをしている」が 28.3 %
となっています。
2 養育費の取り決めをした場合の平均金額(月額)
厚生労働省による「令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、養育費を現在も受けている又は受けたことがある世帯のうち額が決まっている世帯の平均月額は、
《母子世帯》 50,485 円
《父子世帯》 26,992 円
となっています。
3 養育費の決め方(目安)
当事者同士で協議し納得の上、決定することが出来れば、その金額に問題はありません。
もっとも、協議する場合でも一定の基準は必要ですし、もし裁判になった場合に認められる養育費の金額を知っておく必要はあります。
これらの目安になるのが、裁判所が公開している、養育費算定表です。
①子どもの人数
②子どもの年齢
③養育費を受け取る側(権利者)及び支払う側(義務者)の年収
によって養育費の相場を知ることが出来ます。
例えば、5歳と2歳の子どもの親権者が母で、母の収入が100万円/年、父の年収が600万円/年の場合、養育費の相場は、子ども2人分で8~10万円となります。
子どもが成長し、18歳と15歳となった場合、母、父の収入に変化がなかったとしても、養育費の相場は、10~12万円と増加します。
4 養育費の決め方(個別の事情)
(1) 学習補助的な塾代
子の学習到達度を考慮し、塾に通学させる必要性があるといえる場合、当事者の経済状況を考慮し、負担する経済的余力がある場合には、父母それぞれの収入に応じて分担を求めることが出来ます。
(2) 受験予備校
子が受験期にあり、進学希望先に鑑み学習の必要性・相当性が認められる場合には、当事者の経済状況を考慮し、負担する経済的余力がある場合には、父母それぞれの収入に応じて分担を求めることができます。
(3) クラブ活動・ピアノ等の習い事
同居中から通っている場合には、収入を考慮し、継続することが不合理といえるだけの事情がない限り、父母それぞれの収入に応じて分担を求めることができます。
5 養育費はいつまでもらえるのか
子が未成熟子である間は養育費の負担義務が発生しますので、一般的には、社会人として自立するまで支払うものと理解されます。
たとえば、以下のようなパターンが考えられます。
高校を卒業するまで≒子どもが18歳に達した後最初に到来する3月まで
大学を卒業するまで≒子どもが22歳に達した後最初に到来する3月まで
まだ、子どもが幼く、高校卒業後の状況について見通しが立たない場合には、子どもが20歳になる誕生日まで、とするのが家庭裁判所実務の運用です。
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。