離婚届の書き方と提出方法
1、離婚届の書式のもらい方
離婚届を提出するには、まず専用の書式を入手しなければなりません。
入手する方法は、大きく分けて次の2つです。
(1)役所でもらう
(2)ネットでダウンロードする
以下で、それぞれの方法をみていきましょう。
(1)役所でもらう
離婚届は、市区町村の役所の戸籍を扱う係で受け取ることができます。
戸籍を扱う係は市区町村ごとに戸籍課、市民課など名前が異なりますので、分からない場合は役所の受付で、どの係が戸籍の関係の部署かを確認しましょう。
※高松市にお住まいの方は、高松市役所市民課3番窓口(市役所1階)でお受け取り可能です。
※平日:午前8時30分~午後5時(祝日、年末年始を除く。)
また、離婚届は、役所の開庁時間外でも、夜間窓口や休日窓口がある場合はその窓口で、ない場合でも宿直室や守衛室で受け取ることができます。
開庁時間内に行けない場合はこれらの所で受け取るようにしましょう。
なお、離婚届は全国共通なので、離婚相手と暮らしていた市区町村の役所に限らず、現在のお住まいや職場の近くにある役所等ご自身のアクセスしやすいところで受け取っても構いません。
(2)ネットでダウンロードする
一部の役所では、離婚届をダウンロードできるようにしているところもあります。
※高松市役所のHPでも書式を掲載しています。
※ダウンロードしたものを印刷すればそのままご使用が可能です。
※必ずA3で印刷してください。
離婚届様式(必ずA3サイズで印刷してください)(PDF:154KB)
2、離婚届の書き方
離婚届の書式を入手したら、所定の事項を記入します。
(1)離婚届を書くときのポイント
次の3つのポイントを守って所定の欄を埋めていきましょう。
- 黒のペンまたはボールペンで記入する
- 鉛筆や消せるペンは使用せず、ボールペンや万年筆など、消せないペンで記入するようにしましょう。インクがなくなりかかっているようなペンもNGです。
- 誤字や脱字に注意する
- 書き損じた場合は修正液を使うことはできません。二重線と訂正印で訂正します。
- 読みやすい字で書く
- 楷書体で丁寧に書いてください。
(2)離婚届に使用すべき印鑑
離婚届には押印が必要ですが、夫婦・証人ともに実印を使う必要はなく、認印で構いません。
ただし、シャチハタやゴム印はNGです。
また、夫婦が同じ印鑑を使うことはできず、別々の印鑑を使用する必要があります。
お手元に認印が1本しかない場合は、夫婦のどちらかが認印を使い、もう一方の人は実印を使うという形でも構いません。
(3)離婚届には成人2名の証人が必要
離婚届に署名・押印してもらう証人を誰に頼めばよいのかで悩む方が多いですが、結論として、成人であれば誰でも構いません。
親・兄弟や親戚の方に頼むのが一般的ですが、友人・知人や職場の方に頼んでも構いません。
極端にいえばまったく知らない人でも問題ありません。
どうしても証人が見つからない場合には、離婚届の証人を代行する会社を利用する方法もあります。
2名の証人を頼んでも、多くの場合1万円以下で済ませることができます。
(調停や審判・裁判による離婚の場合には、離婚届の証人は必要ありません。)
3、離婚届を提出するときの必要書類及び注意点
離婚届を提出する際には、離婚届以外にも書類が必要になる場合があります。
必要書類は、協議離婚・調停離婚・裁判離婚の各場合でそれぞれ異なってきます。((3)参照)
<離婚届提出時の必要書類>
(1) 離婚届 1通
(2) 戸籍謄本 1通
本籍が高松市の方は不要です。
(3)裁判離婚の場合は次の書類を添付してください。
・調停離婚 調停調書の謄本
・審判離婚 審判書の謄本と確定証明書
・和解離婚 和解調書の謄本
・請求の認諾離婚 認諾調書の謄本
・判決離婚 判決書の謄本と確定証明書
(4) 窓口に来た方の官公署発行の顔写真付本人確認書類
運転免許証、マイナンバーカード、パスポート等
※顔写真付本人確認書類がない場合は、本人宛に郵送により通知します。
(5) 窓口に来た方の印鑑
※印鑑は、誤記等を指摘された際の訂正に必要となりまので、離婚届に押印した印鑑もご持参ください。
<その他注意点>
❶記載について
裁判離婚の場合の離婚届は、届け出る方だけ記載すれば足ります。すなわち双方の署名押印は求められません。
❷届出期限について
裁判離婚の場合、裁判離婚 調停・和解の成立、請求の認諾または審判・裁判の確定の日から10日以内が提出期限となります。
※10日を過ぎた場合は、「戸籍届出期間経過通知書」(用紙は市役所窓口にあります。)を提出する必要があります。
※期限を過ぎてから提出しても受理はされますが、早めに提出するようにしましょう。
❸届出できる方について
戸籍法に基づく届出ですので、委任は認められません。ただし、届書を持参する方はご本人以外でもかまいません。それぞれのケースについて、届出者をみていきましょう。
1 協議離婚
離婚する夫および妻
※届出の際に本人確認ができなかった場合は、離婚届が受理されたことを本人確認ができなかった方に対して郵送により通知します。
2 裁判離婚
原則、調停の申立人または訴えの提起者(夫または妻の一方)となります。
※調停・和解の成立、請求の認諾または審判・裁判の確定の日から10日を過ぎて届出をしない場合、相手方からも届出することができます。
また、10日を過ぎなくても、相手方からの届出を一旦受領し、申立人または訴えの提起者から届出期間内に届出がなければ、最初に届書を受領した日をもって受理されます。
※調停条項で「相手方の申出により離婚する」と定められているときは、調停・訴えの相手方から直ちに届出することができます。
4、離婚届を提出する方法
離婚届を提出する方法には、次の3種類があります。
- 役所の受付時間内に窓口で提出する
- 休日・夜間など時間外に提出する
- 郵送で提出する
それぞれの方法についてみていきましょう。
(1)役所の窓口で提出
役所の窓口で離婚届を提出すると、書類に不備がなければすぐに受理されますし、不備がある場合にはその場で指摘を受けて訂正することができます。
したがって、離婚届が最も早く、かつ確実に受理される方法となります。
離婚届がきちんと受理されるか不安という方は、できる限り役所の窓口に出向いて提出するとよいでしょう。
(2)休日・夜間に提出
忙しくて平日の日中に役所に行けないという方は、休日・夜間など役所の受付時間外でも提出できます。
多くの役所には入り口の近くに時間外受付ポストが設置してありますので、そこに離婚届等必要書類を投函すれば足ります。
時間外受付ポストが設置されていない役所でも、宿直室や守衛室を訪ねれば離婚届等必要書類を受け取ってくれます。
※高松市役所では、守衛室にて受付してくれます。
※この方法で提出した場合、離婚が成立するのは役所の翌営業日以降で、離婚届が受理された日となります。
※書類に不備があった場合は、役所に出向いて訂正しなければなりませんので、提出前に不備がないかをしっかりと確認しましょう。
(3)郵送で提出
離婚届は役所に出向かなくても、郵送で提出することも可能です。
本籍地の役所が遠方にある場合は、離婚届を本籍地の役所へ郵送すれば、戸籍謄本を提出する必要がなくなります。
なお、離婚の成立日が役所の翌営業日以降になることと、書類に不備があった場合に役所に出向いて訂正しなければならないことは、休日・夜間の提出の場合と同じです。
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。