財産分与(子ども名義の預貯金)
子ども名義の財産は財産分与の対象になるのだろうか。
財産分与の対象になる場合、原則として他の財産と合わせて2分の1ずつ折半することになる。
実質的に子どものものであるといえる場合には、財産分与の対象とはならない。しかし、子どもの名義を借りて夫婦の財産を貯蓄していたに過ぎない場合には、財産分与の対象となってしまう。
「子どものための財産」と「子どもの財産」とは違うため、注意が必要である。
○お年玉やお祝い
子どもがもらったお年玉を毎年蓄えていた場合、子どもがもらったお金を自ら蓄えているので、実質的に「子どもの財産」といえる。
これは、財産分与の対象にはならない。
他にも、誕生日のお祝いや小学校入学のお祝いなど、子ども自身がもらったお金を貯金している場合は、実質的に「子どもの財産」といえるので、財産分与の対象とはならない。
○子どもの将来の進学に備えて夫婦の収入から毎月貯蓄していた場合
子どもの名義を借りて、「子どものための財産」を蓄えていたということになる。子どもための財産は、実質的には、まだ夫婦の財産であるため、財産分与の対象となる。
○子どもが成人したときに渡すために夫婦の収入から少しずつ蓄えていた場合
・子どもが成人する前
子どもの将来の進学に備えて貯蓄していたケースと同じように、実質的にはまだ夫婦の財産であるため、財産分与の対象となる。
・子どもが成人した後
成人の誕生日や成人式のタイミングで、通帳と届出印を子どもに渡している場合、これによって、夫婦から子どもに預貯金が贈与(※)されたことになります。
これによって、「子どものための財産」から「子どもの財産」に変わります。仮に、子どもがこの預貯金に手をつけずにいる間に離婚することになったとしても、この預貯金は財産分与の対象とはなりません。
※110万円以上(年間)の贈与には贈与税がかかります。
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。