夫婦のコミュニケーション改善方法

1 夫婦間の不和が発生する要因について

  以下のような要因が一般的には考えられます。

 

① コミュニケーションの不足

  コミュニケーションは健全な夫婦関係の基本です。しかし、忙しい生活やストレス、日常のルーティンによって、コミュニケーションがおろそかになることがあります。不足したコミュニケーションは、感情の不一致や誤解を引き起こし、不和の原因となることがあります。

 

② 意見や価値観の相違:

  夫婦はそれぞれ異なるバックグラウンドや経験を有しています。それに伴い、意見や価値観に違いが生じることがあります。たとえば、子育てスタイルや金銭管理、時間の使い方など、さまざまな領域で意見が異なることがあります。これらの相違が不和を引き起こす場合があります。

 

③ コミュニケーションスタイルの不一致

  夫婦はそれぞれ異なるコミュニケーションスタイルを持っています。一方が感情を表現することを好み、もう一方が内向的であったり、コミュニケーションが苦手であったりする場合、コミュニケーションの不一致が生じることがあります。

 

 

2 コミュニケーション不足が発生してしまう原因

  以下の要因が一般的には考えられます。

 

① 忙しさと時間の制約

  現代の生活は多忙であり、仕事や子育て、家事などの責任によって時間が圧迫されることがあります。このような忙しさの中で、夫婦が十分な時間を確保してコミュニケーションを取ることが難しくなる場合があります。

 

② ストレスと疲労

  ストレスや疲労はコミュニケーションに影響を与える要因です。ストレスや疲労が蓄積すると、コミュニケーションに対する意欲やエネルギーが低下し、夫婦間の会話や接触が減少することがあります。

 

③ コミュニケーションスキルの不足

  コミュニケーションはスキルであり、学ぶことが必要です。夫婦の一方または両方が効果的なコミュニケーションスキルを持っていない場合、会話がスムーズに進まず、コミュニケーション不足が生じることがあります。

 

④ 感情的な壁

  婚姻中に発生した過去の傷やトラウマ、不信感、怒り、恐れ(妊娠中の配慮に欠けた言動、家事育児への不参加、義両親との不和、一時的な感情にまかせた暴言・暴力などの経験によるネガティブな感情)という感情的な問題が、夫婦の間に壁を作り出すことがあります。このような感情的な壁が存在する場合、オープンなコミュニケーションを妨げることがあります。

 

⑤ コミュニケーションの優先順位の低さ

  夫婦がコミュニケーションを重要な要素として認識していない場合、他の要素(仕事、趣味、友人など)を優先し、コミュニケーションが後回しになることがあります。

 

これらの要因が組み合わさることで、夫婦のコミュニケーション不足が生じる可能性があります。しかし、認識し理解することで、より良いコミュニケーションを築くための対策を取ることができます。

 

3 夫婦関係を良好にする良いコミュニケーションと夫婦関係を悪化させる悪いコミュニケーション

 

  1) 良いコミュニケーションの特徴

 

     オープンで率直なコミュニケーション

    カップルは互いに対してオープンで率直なコミュニケーションを行います。素直に感情や思いを伝え、問題を解決  するために意見を交換します。

     聴くことと共感 

      お互いの話をよく聴き、相手の意見や感情に共感します。相手の立場や視点を理解しようとする姿勢を持ちます。

    非言語コミュニケーションの重視 

      言葉だけでなく、非言語コミュニケーションも重要です。表情や身振り、タッチなどを通じて感情や意図を伝え、相手との絆を深めます。

     建設的な解決策の模索

      問題が発生した場合、夫婦は共同で解決策を見つけるために協力します。妥協や交渉を通じて、お互いに合意のある解決策を模索します。

 

  2) 悪いコミュニケーションの特徴

 

     攻撃的なコミュニケーション

      相手を攻撃したり非難したりするようなコミュニケーション。批判や侮辱的な言葉が飛び交い、後にコミュニケーション不足を引き起こす感情的な傷を与えることになります。

    相手の話を聴かないこと

      相手の意見や感情に耳を傾けず、自分の意見や立場だけを主張します。相手の意見を無視したり無理解を示すことになります。

     沈黙や無視 

      問題や困難が生じた場合、沈黙したり相手を無視したりすることがあります。認知の歪みが一層深刻化し、問題が悪化する可能性があります。

     表面的・偽りのコミュニケーション

      本心ではなく、ごまかしや嘘をついたり、本当の感情を隠したりするようなコミュニケーションを行います。このようなコミュニケーションは信頼関係を損なう可能性があります。

 

    良好な夫婦関係を築くためには、良いコミュニケーションスキルを育て、悪いコミュニケーションパターンを避けることが重要です。

 

4 良いコミュニケーションスキルを育てる方法

 

  ① 聴く力を養う

    相手の話に注意深く耳を傾けることが重要です。相手の意見や感情に対して理解を深めるために、積極的に聴くことを心がけましょう。相手が話しているときは、中断せずに待ち、共感や理解の意思を示すためにうなずいたり、質問を投げかけたりすることも大切です。

   オープンで率直な表現

    自分の感情や思いを素直に相手に伝えることが重要です。率直な表現をすることで、相手があなたの立場や考え方を理解しやすくなります。ただし、言葉遣いやトーンにも注意し、相手を攻撃しないようにしましょう。

   非言語コミュニケーションに意識を向ける

    言葉だけでなく、表情や身振り、姿勢、タッチなどの非言語的な要素も重要です。相手の感情や意図を読み取り、適切な反応を示すために、非言語コミュニケーションに意識を向けましょう。

   共感する力を持つ

    相手の立場や感情に対して共感しようとする姿勢を持つことが大切です。相手の視点を理解しようと努力し、相手の感情や状況に対して敏感になりましょう。相手が抱える困難や感情に寄り添い、サポートする姿勢を示しましょう。

  問題解決のスキルを磨く

    問題が生じた場合には、建設的な問題解決スキルを活用しましょう。感情的にならずに問題を分析し、双方の意見を尊重しながら解決策を見つける努力をしましょう。妥協や交渉のスキルも重要です。

   コミュニケーションの練習

    コミュニケーションスキルは練習によって向上します。日常生活の中で意識的にコミュニケーションを練習しましょう。パートナーや友人との会話やコミュニケーションの機会を増やし、スキルを磨いていきましょう。

   カウンセリングやトレーニングの受講

    カウンセリングやコミュニケーションのトレーニングを受けることも有益です。専門家のアドバイスや指導を受けることで、具体的なテクニックや戦略を学び、スキルを向上させることができます。

 

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この記事の執筆者

弁護士山口恭平

あい法律事務所

弁護士

山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)

取扱分野

家事案件(離婚・男女問題、相続)

経歴

法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。