不倫をしている側が離婚を求める場合
○有責配偶者からの離婚請求は原則認められない。
相手方配偶者が離婚に同意してくれない場合、離婚調停、離婚裁判をしても離婚は成立しない、というのが原則です。
浮気された挙げ句、一方的に離婚を押しつけられるのでは、ふんだりけったりだ、というのがその理由です。
○有責配偶者からの離婚請求が認められる場合
①そもそも、不貞関係になった時点で、別居状態になっており、夫婦関係が破綻していた場合、不倫のせいで夫婦関係が破綻したわけではわりませんので、離婚請求は認められます。
②次に、離婚を認めても、不倫をされた側に酷ではないと評価できるような場合も離婚請求が認められます。
では、どのような場合に、酷ではないと評価できるのかというと、不倫をきっかけに別居状態となり夫婦の実態が失われてから何年も経過している、相手方が未成年者の監護に時間と労力を大きく割かれている状態ではないこと、相当な慰謝料の支払いに応じていること、などを総合的に考慮して判断します。
○早く離婚したい場合
離婚に応じてくれるよう相手方を説得するしかありません。
離婚してくれ、と言うだけでは、説得ではなく、ただの押しつけですので、相手方に離婚した方がメリットがあると思わせるだけの提案をしなければいけません。
多くのケースで、相手方が離婚に応じない主たる理由は、不倫された上に離婚を押しつけられることへの不満、離婚後の経済的な不安にあります。これを解消するためには、「すぐに離婚に応じてくれるのであれば、一般的な水準よりも高額な慰謝料や養育費の支払いをする」などの提案をする必要があるでしょう。
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。