モラハラが子どもに与える悪影響~「自分だけ我慢すればいい」は間違い!

モラハラ夫は、妻に対しては理不尽な要求をしても「子どもには優しい」ケースが少なくありません。そんなとき、妻は「自分だけ我慢していたら良い」と思い、「離婚したい」気持ちを飲み込んでグッとこらえてしまいがちです。

しかし親のモラハラを日常的に見ながら育つと、子どもに大変な悪影響が及ぶ可能性があり要注意です。
今回はモラハラが子どもに与える悪影響について、離婚案件を多数取り扱ってきた弁護士がご説明します。

0.モラハラの特徴

モラハラとは、身体的な暴力ではなく、言動(暴言、人格非難など)や態度(無視など)によって心に暴力をふるうDV(ドメスティックバイオレンス)の一種です。
ただ、モラハラ加害者の多くが、社会的地位を得て、外面が良い人が多いため、なかなか身近な人に気づいてもらえない、理解してもらえない、ということがよくあります。
自分の親から「あんな良い人はいない。」と言われてしまったり、友人から「優しくて気の利く素晴らしい方ね。」などと言われてしまったりして、自分が間違っているのかもと思い悩んでしまうこともよくあります。

モラハラ加害者の多くが社会的地位を得ていて、外面が良い人が多いため、「私が我慢すればいい」と考えてしまいがちですが、子どもが独立するまでの間ご自身の心や身体は健全でいられるでしょうか。
ご自身で抱え込むことなく一度ご相談ください。

1.子どもにモラハラが連鎖する

両親の間でモラハラが行われている状況下で子どもが育つと、子どもは何を感じて生活することになるでしょうか?

・日常的に父親が母親をなじっている
・父親が「ママはバカだ」「ママのようになってはいけない」と言ってくる

そんな状況では、子どもも母親を尊敬できなくなり、自分の親を否定して生きることになってしまいます。また、モラハラ夫が、子どもがモラハラ行為をしたことに対して褒めるなどしている場合には子どもは成長の過程で誤った学習をしてしまい、さらにモラハラを助長することになりかねません。
両親の間でモラハラが行われていると、子どもにとっては「モラハラが当たり前」になります。自分が人を無視したり、暴言を言ったりすることに抵抗がなくなってしまったり、無意識に他人を見下げた言動や行動をすることがあります。男の子の場合、将来自分の配偶者にモラハラ行為をしてしまう可能性が高くなります。女の子の場合、将来自分の配偶者としてモラハラ夫を受け入れてしまうリスクが高くなります。

 

たとえ子ども達が「親のようになりたくない」と望んでいても「正常な家庭における夫婦関係を知らない」ため、自然と自分もモラハラ環境を選んでしまう傾向があるのです。

モラハラの連鎖を断ち切るため、子どもに両親間のモラハラを見せつけてはなりません。

2.不安を抱えて生きていく結果になることも

両親の間でモラハラが起こっていると家の雰囲気は暗くなりますし、常に張り詰めた空気が漂っている家庭も多数あります。母親はいつも夫に怯え、緊張しながら生活しています。モラハラ夫が妻に怒鳴ったり、酷い言葉を投げかける様子を子どもが見ると、子どもはモラハラを行う親に恐怖を感じ委縮し、心にダメージを負い辛い気持ちを抱えてしまいます。

子どもに隠れてモラハラを行ったとしても、子どもは親の様子を敏感に感じ取ります。自分がモラハラのターゲットにならないよう、モラハラ夫の機嫌を必死に取ろうとしてしまいます。
そんな中で子どもが育つと、「自分が母親を守らなければならない」という意識や「自分が良い子ではないから、両親がけんかをしてしまうのだ」という考え方になり、常に遠慮がちで自分の言いたいことを言えない大人になってしまう可能性があります。

・社会に出て行くことに不安を感じて就職に消極的になる
・会社になじめずすぐにやめてしまう
・異性に対しても積極的になれず結婚できない
・周囲を信頼できず友人を作れないので孤独に生きていく
一例ですが、こういった生き方をせざるを得なくなるケースもあります。

 

モラハラは母親が我慢していれば良いというものではありません。子どもの「トラウマ」となって一生残るリスクがあります。

3.心や脳へダメージを与えてしまうリスク

高い頻度で暴言を目の当たりにすると、ストレスを感じた際に出るコルチゾールというホルモンが脳を刺激し、脳が委縮してしまうといわれています。その結果少しのことでも強い恐怖や不安を感じたり、怒りやすい性格になり、「上手く感情のコントロールができない」「記憶力の低下」といったことが見られるようになります。

暴言を目の当たりにしてきた子どもたちは、同じように暴言を吐いたり上手く感情がコントロールできない子が多いと言われています。子どもへの暴言のダメージの大きさや、暴言によるトラウマの取り除きにくさが影響しています。
また、家庭生活でのストレスから「不登校」「適応障害」「うつ」といった弊害が現れることもしばしばあります。

4.思いやりを持てない大人になってしまうリスク

子どもは親の背中を見て育ち、子どもが人との繋がりを築くことを覚える場所は家族です。家族との関わりの中でコミュニケーションの取り方や人との接し方、繋がり方について学んでいきます。
日常的に父親が母親を罵倒する風景を見ながら過ごしていると、子どもにとっては「人を侮辱することが普通」になってしまいます。その結果、常に周囲の人を蔑んだり些細なことでキレやすくなったりして、社会に適合しにくくなってしまうおそれがあります。
人を傷つけても気づかないので人間関係でトラブルが起こるケースもありますし、周囲から注意されても理由がわからないので自己肯定感が低くなってしまう可能性もあります。

 

また、モラハラ家庭では、ある人はある行為をするのと叱られるが、別の人が同じことをやっても許されるということが良く起こります。例えば、モラハラ家庭で父親だけがお金を使っても良く、母親や他の家族は必要なものさえも買うことを許されない、といったことです。このような環境では、ルールが一定でないため子どもは良し悪しの判断ができなくなってしまいます。
モラハラ家庭で自分は許されるという扱いをうけていた子どもは、傲慢な人間に成長してしまうことがあります。
さらには、悪くない人間が叱られ責任を取らされることに快楽を感じるようになってしまうと、大人になってからもモラハラを繰り返すようになってしまいます。

5.将来、子どもにモラハラ行為が及ぶ可能性もある

「夫は私には厳しいけれど子どもにとっては良いパパだから離婚はしない」と考えている方にお伝えしたいことがあります。
それは今は子どもに優しくても、将来は子どもにもモラハラ行為が及ぶ可能性があることです。

夫のモラハラに対して妻が感情を失い無反応になってくるとその矛先は子どもに向かっていきます。そして、しつけと称して子どもにもモラハラを行うようになっていきます。また、習い事や進路について子どもの意思を尊重することなく自分の考えを子どもに押し付けたりします。
子どもが小さいうちは、子どもが父親に従うので父親としても気分が良く、理不尽な要求をしないかもしれません。しかし、大きくなって子どもに自我が芽生え思春期になって反抗しはじめると、妻がモラハラ夫に耐え続けていても子どもに対しても妻に対するのと同様に理不尽な言動を取り始める可能性が高いです。ときには暴力事件に発展してしまうケースもあります。そうなる前に相手と子どもを引き離しておくべきです。

 

「親の身勝手で子供を片親にしてしまってはいけないのではないか・・・」
「経済的に離婚は無理だから、自分さえ我慢すれば・・・」
と、いくら子どものためにと我慢して取り繕っていても、子どもはその雰囲気を敏感に察知します。

 

モラハラ被害を放置すると、子どもの将来に大きな悪影響が及ぶリスクが高くなります。そうなる前に、悲しい連鎖を早めに断ち切りましょう。
お一人では別居や離婚に向けて進むのが困難な場合、弁護士が全面的にサポートいたします。
高松でモラハラ被害を受けておられる方がいらっしゃいましたら、お早めにご相談下さい。

087-832-0550受付 平日9:00~19:00あい法律事務所(香川県弁護士会所属) 最寄り駅:琴電/瓦町駅 JR/栗林公園北口駅

この記事の執筆者

弁護士山口恭平

あい法律事務所

弁護士

山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)

取扱分野

家事案件(離婚・男女問題、相続)

経歴

法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。