離婚に向けて別居をお考えの方へ
☆実際の相談の様子☆
相談者「毎日のように、夫に、罵られています。夫の顔を見ると動悸がするようになって、今では、同じ空間にいるだけでお腹が痛くて吐き気もします。今の状態が、これ以上、続いたら、おかしくなってしまいます。まだ幼稚園と小学生の子どもがいるのに、私が倒れるわけにはいきません。どうしたらいいでしょうか?」
弁護士「それは、とてもツライ状況ですね。相談者さんの状況からすると、とにかく同居状態を解消して、気持ちの安定を優先する必要がありそうですね。別居を考えたことはありますか?」
相談者「あります。でも、別居しようと考えても不安の方でいっぱいになってしまって、これまで行動に移すことはありませんでした。」
弁護士「そうでしたか。では、どんなことが不安なのか、一緒にひとつひとつ考えていきましょう。
別居するとした場合、実家を頼ることは出来ますか?」
相談者「実家には弟夫婦が住んでいて頼りづらいです。」
弁護士「そうですか。経済的状況を考えると、家賃の負担はなるべく発生しないようにできたらと思うのですが。相談者さんは、パートで月に10万円ほどの収入があるんでしたよね。ご主人の収入が600万円程度ですと、婚姻費用として12万円くらいは期待できますね。婚姻費用というのは、別居中でも、ご主人に請求できる生活費のことです。ということは、月22万円くらいの収入で生活していくということになりそうですね。」
相談者「夫が、素直に毎月婚姻費用を払ってくれるとは思えないのですが・・・。」
弁護士「その可能性が高いのであれば、婚姻費用の分担調停を申し立てましょう。ご主人は会社員で勤続期間も長いのでちゃんと払ってくれる可能性が高いといえます。婚姻費用の調停だと調停成立までに数か月かかってしまうこともあります。その間の生活費がないという場合には、婚姻費用の分担を求める仮処分も申し立てましょう。」
相談者「調停をしたり、勝手に出て行ったりしたら、怒って、怒鳴り込んできそうで怖いです・・・。」
弁護士「住所を相手に知らせずに別居をするということも考えられます。また、相談者さんの方で弁護士をたててしまえば、すべてのやり取りは弁護士がしますので、別居後、ご主人と話したり顔を合わせたりせずに済みますよ。弁護士から本人に直接接触しないようにという警告はしますが、それでも家まで押しかけて来てしまったという場合には、すぐに110番をしてください。」
相談者「別居できそうな気がしてきました。別居に向けて先生に協力してもらえますか?」
弁護士「もちろんです。一日でも早く平穏な日常が取り戻せるように迅速に準備していきましょう。
では、一時的でも実家に身を寄せることができないか、お子さんたちの心情面のフォローをどのようにしていくか、別居まで準備しておかなければならないこと等について、検討していきましょう。」
あい法律事務所 共同代表弁護士 山口
TEL 087-832-0550
別居のポイント(2つの見通し)
①別居後の(経済的な)生活の見通しを立てること
②別居後の離婚方法(弁護士を入れるのか、自分で話合いをするのか、調停をするのか)について見通しを立てること
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。