年金分割の案分割合を50%より低くできますか?
確かに、年金分割(合意分割)は、制度上、その範囲が最大で50%であることから、例えば30%といった分割も可能なように思えます。したがって、インターネットでも、当事者の合意により自由に決めることができるかのように記載されたサイトがほとんどです。こういったサイトは弁護士以外の作成者が多いようです。
しかし、離婚裁判実務において、50%以外の合意がなされることは非常に希です。なぜならば、案分割合で争いとなり、仮に審判へ移行した場合、裁判所は、ほとんど例外なく50%とするからです。したがって、調停段階においても、調停委員からは50%に応じるようにかなり説得されます。
なお、別居期間が長期間に及んでおり、かつ、その原因がもっぱら請求者にあるような特段の事情がある場合は、審判においても50%以下の案分割合が認められると思われますが、そのようなケースはほとんどありません。
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。