弁護士に離婚問題を依頼するメリット
「離婚問題に弁護士さんがかかわることがあるんですか? 」 |
「そうですね。全体の離婚件数に比べれば少ないかもしれないですが、関与しています。」 |
相談者「それは、相手が浮気をしていたり、DV被害にあっているような案件になるのですか?」
弁護士「もちろん、そのような案件もありますが、そうではない案件も多数あります。」
相談者「依頼者の方は、どんな理由で弁護士さんに依頼するのですか?」
弁護士「不貞やDV以外の依頼ですと、、、例えば、財産分与に関するものがあります。『相手方が財産を蓄えてきたはずだけれど全体像が分からない。明らかにしてくれと言っても明らかにしてくれない。』というものや『住宅ローンを組んで購入した自宅があるんだけれど、離婚にともなって清算したい。』
『相手方は会社の経営者(または自営)をしていて、どこまでが財産分与の対象になるのか分からない。』などがあります。」
相談者「子どもに関することで依頼される方もいますか。」
弁護士「はい。いらっしゃいます。
『相手方のこれまでの育児の様子から相手方には任せられない。』
『親権はとれなくても、子どもとは今後も継続的に会いたい。けれど、相手方に難色を示されている。』などの思いで依頼される方がいらっしゃいます。
『子どもを連れて出て行かれた。子どもを取り返したい。』という相談は、状況によっては、
緊急性が極めて高く、早急にアクションを起こさなければならない案件ですね。」
相談者「そのような相談は、弁護士さんに依頼した方がいいのですか?」
弁護士「基本的には、離婚に関する問題は、当事者間で話合いで解決できる可能性の高いものだと思っています。
なので、当事者同士で話合いをして、双方が譲歩し合って折り合えるところを見つけられそうであれば、弁護士に依頼せずに円満に解決することができると思います。
もっとも、離婚後のことを考えると、知らないうちに不利な条件を押しつけられないよう、一度は弁護士に相談された方がいいとは思います。
しかし、これから離婚しようという当事者同士ですから、婚姻期間に溜まった感情が噴出して、なかなか冷静に話ができないということもあります。また、精神的な負担も相当なものになることもあります。
そういうときは、弁護士を代理人として利用することを考えていいかと思います。
また、親権者としてお子さんを育てていかなければならない方は、正しい知識をもって、適正な養育費や財産分与、慰謝料を獲得しておくことが、お子さんのためにも必要であると思います。
この場合も弁護士と一緒に、離婚後のお子さんの養育について考える必要があるのではないかと思います。」
相談者「弁護士さんに依頼するメリットはそういったところにもあるんですね。」
弁護士「そうですね。」
弁護士活用のポイント
〇言いくるめられてしまいそうで自分で交渉するのは怖い
普段の夫婦の関係からパートナーと離婚条件を交渉するということに大きな不安を感じる方は多くいらっしゃいます。
なにをいっても言い負かされてしまう、
パートナーが怖くて言いたいことが言えないことが多い、
話をしようにも感情的になられてしまって冷静な話ができない、
という場合には、法律のプロである弁護士に交渉を代行してもらうことで、不利な条件を押し付けられたり、根負けして不利な条件を飲み込まなければならないといった事態を防ぐことができます。
また、DVやモラルハラスメントが原因で離婚をする場合には、不利な離婚条件を押し付けられるという危険だけではなく、身体に対する直接的な危険というものも存在します。
弁護士に交渉を代行してもらえば、身の安全を確保しながら協議を進めることができます。
法律の専門家である弁護士が交渉することで、相手方に臆する必要がなくなるということは弁護士を活用するメリットといえます。
〇話し合いをしようとしない・連絡のつかない相手方を交渉のテーブルにつけさせる
離婚をしたくても相手方が交渉に応じない・全く応答しないという点で悩んでいる方もいらっしゃいます。
相手方が交渉のテーブルに着こうとしない場合には、交渉のテーブルにつかざるを得ない状況をつくりだします。
弁護士に依頼したというだけで交渉がさっと進むこともあります。
〇夫婦で話し合っているがどうにもお互いが納得できる解決策が出てこない
お互いに譲れない点が重なってしまい話し合いが一向に進まない状態にあるということはよくあります。
この場合、当事者間では出てこなかった第3、第4の案を弁護士から提案してもらえます。
また、お互いが譲れないと考えていた理由を解きほぐすことで、解決の糸口を見つけることも出来ます。
経験に基づいて、新しい切り口での解決策を見いだせるのも、弁護士を活用するメリットです。
例えば、住宅ローン(主債務者:夫、連帯保証人:妻)が残っている自宅不動産の処分をめぐって、離婚後の生活を考えると、どちらも経済的に成立しないことから、双方が押し付け合っているという場合があります。
この場合、離婚に伴って夫婦双方が自己破産するという選択肢があります。夫婦共に自己破産に対する抵抗感が強く、その選択肢を検討できていませんでした。
しかし、自己破産とはどういうものかを知ることで、夫婦ともに自己破産して離婚後の生活を仕切りなおすという落とし所を見つけることができました。このように自分達だけでは解決しにくい意見の対立がある場合でも、専門家の知識があれば、自分たちに合ったよりよい選択をすることができるといえます。
〇漠然とした不安を抱えながら話し合いや調停を続けるのが苦しい
頼れる弁護士がいてくれるという安心感を得られます。
調停では、その場で回答や結論を出すことを求められることがあります。本当にこれで決断してしまっていいのだろうかという不安を何回も経験することになります。そんなときに、弁護士が同席してくれていることは大きな心の支えになるものです。
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。