モラハラ 離婚 どうやって?
①話し合いが可能なのか
②別居できるか&いつ別居するか
①話し合いが可能なのか
まずは、モラハラ夫に対して離婚を切り出す精神的余裕があるか、切り出した後、協議を継続する精神的余裕があるかを考えなければなりません。モラハラ案件の経験が少ない専門家に相談してしまうと「まずは離婚したいという気持ちを伝えてみましょう」とアドバイスされてしまうこともあり、それが出来ず希望を失ってしまう方もいます。
離婚を切り出す時点で勇気を振り絞ったとしても、それから離婚が成立するまでは、残念ながら、長い道のりが待っている可能性が高いのがモラハラ夫との離婚です。
家事・育児に追われながら、より一層緊張感を増した家で生活し、離婚の話し合いを進めていくだけの精神的余裕があるか、慎重な検討が必要です。
離婚を切り出すことも出来るし、その後の話し合いをすることも出来そうだ、と判断した場合、今度は、夫は「話し合いが出来る相手か」を考えなければなりません。
もちろん自分自身も、求めようと考えている離婚条件(養育費や家のこと)が妥当な内容なのかをよく考えなければなりませんが、モラハラ夫の中には、「自分が正しいから、自分の意見は正しい」という考え方をしている人がいます。
こういう考えをしている相手と話し合いをしようと思っても、話し合いになりません。いつのまにか、夫の要求を受け入れるか、我慢するかの2択になってしまっている方もいらっしゃいます。
上記のような事態に陥り疲弊してしまうことのないよう、①話し合いが可能なのか、をまずはよく考える必要があります。
②別居できるか&いつ別居するか
①が難しそうだという結論になった場合、諦めることなく、別居という選択肢が取れないかを検討しましょう。
この場合、離婚調停という手続に進むことになるのですが、やはり、同居しながら離婚調停をするというのは精神的負担が重すぎて現実的ではありません。
そのため、まずは別居ということになります。
別居をするに際して、一番のハードルは生活費です。
別居後は、相手方から支払われる婚姻費用と自分の収入で、家賃・光熱費・通信費などの自分とお子さんの生活費を賄わなければなりません。
自分の収入と婚姻費用(+児童手当)を合わせて20万円程度の収入が見込めれば、別居しても生活の目処が立つケースが多いです。実家に帰れるという方は、多少抵抗があっても当面は実家での生活を検討しましょう。住居費(家賃)がかからないというのは大きなプラスです。実家に住んでいるからといって婚姻費用は減額されませんのでご安心下さい。
※参照用 婚姻費用算定表(裁判所のHPへのリンクです。該当する表をダウンロードしてみてください。)
生活費がなんとかなりそうだなと判断できた場合には、いつ別居するかを考えます。
いったん別居してしまうと、なかなか自宅には戻れませんので、必要なものは全て運び出すことになります。
引越業者が必要なケースがほとんどです。荷物の運び出しの際に邪魔をされて警察沙汰になったという相談を受けることもありますので、日程の選択は慎重にしなければなりません。絶対に帰ってこないでだろう時間帯に、なるべく短時間で済ませるようにしましょう。
家に帰ってきたときに、妻と子どもの荷物が無くなっていると、夫は、激高したり、パニックになって警察に捜索願を出したりします。こうならないように、置き手紙をおいて、せめて状況の説明はしておくべきです。このときに、弁護士がついていれば弁護士作成の手紙も置いて出て行ってもらいます。こうすることで、以後の連絡は弁護士が窓口となることができます。
別居を開始しても、夫が、家に怒鳴り込んで来たりするのが怖いという方は、事前に弁護士に相談・依頼しておくことをオススメいたします。
共同代表弁護士 山口
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。