モラハラ夫 なぜ離婚しない?
妻から離婚を切り出されてもモラハラ夫は、離婚に応じないことが多い。それはなぜか。
①プライドの高いモラハラ夫は、妻から離婚を切り出された事実を受け入れられない。
②認知が歪んでいるモラハラ夫は、自分が加害者であり妻が被害者であると理解できない。正しいことをしている自分が離婚を突きつけられたことに納得できない。
③周囲からは良い夫であると認められていると信じているモラハラ夫は、周囲の評価が覆ってしまうのが怖くて離婚に同意できない。
①プライドの高いモラハラ夫は、妻から離婚を切り出された事実を受け入れられない。
モラハラ夫は、妻が下、自分が上と家庭に上下関係を敷いています。
モラハラ夫は、下の立場の者が上の立場のものに意見することは許されないと考えています。
このような認識が覆り、現実に離婚を切り出されたモラハラ夫は、上から目線で、如何に妻の判断が愚かであるかを、お子さんのこと・経済状態のことを持ち出して分からせようとしてきます。モラハラ夫は、妻の離婚しようという気持ちを折り、上下関係を再構築しようとしてくるのです。
それでも妻の離婚意思が変わらない場合には、離婚を切り出したのが妻である以上、離婚後のことは全て妻の責任だという論法で、養育費は払わない、今後一切関わらない、などと主張してくることもあります。
こうなるとまともな話し合いにならないので離婚条件が整わずいつまでも離婚できない、という事態に陥ってしまいます。
②認知が歪んでいるモラハラ夫は、自分が加害者であり妻が被害者であると理解できなし。正しいことをしている自分が離婚を突きつけられたことに納得できない。
モラハラ夫には、ハラスメントをしているという認識はなく、自分に相応しい妻になるよう教育・指導をしていると認識しています。
教育・指導という大義名分を掲げているモラハラ夫は、それによって妻が傷ついていても、それを認識することができないか、傷ついていると認識できたとしてもそれは妻が悪いのであり自分に非はないと考えます。
ゆえに、妻から離婚を突きつけられても、なぜ離婚を突きつけられたのかが分からないのです。
モラハラ夫は、自分に理解できない行動をされた場合、自分に理解出来ないということは相手が間違っていると考えますので、間違っているのは離婚を切り出した妻の方だということになります。
このように考えたモラハラ夫は、間違っている妻を教育・指導しなければならない、という結論に至ります。
こうなると、離婚に応じる応じないという話しが、離婚を切り出した妻が間違っているか間違っていないかという話しにすり替わってしまいます。こうして、モラハラ夫との協議は、本筋とは違うところで話しは平行線を辿ることになります。
③周囲からは良い夫であると認められていると信じているモラハラ夫は、周囲の評価が覆ってしまうのが怖くて離婚に同意できない。
モラハラ夫は強いコンプレックスを抱えており、周囲からよく思われていると自己認識することで、このコンプレックスを押さえ込んでいます。
モラハラ夫は、押さえ込んでいたコンプレックスが溢れてしまうことを恐れ、離婚という事態を極端に嫌がります。
別居でいいから離婚はしたくない、と主張するモラハラ夫もいます。しかし、別居状態が長引くと周囲の視線が気になり、同居開始を強要してきます。
また、妻の離婚意思が固いと判断したモラハラ夫は、悪いのは自分ではなく妻であると周囲に話します。自分が被害者であることにして、離婚によって自己の評価が落ちないよう、取り繕おうとするのです。モラハラ夫は、周囲から、自分が何も悪くないのに妻に一方的に離婚を突きつけられたかわいそうな夫だと認めてもらえたと認識するまで、離婚に応じようとはしません。
④最後に
モラハラ夫と離婚するには、多大な精神力を必要とします。
終わりの見えない話し合いに、ただでさえ弱っている精神がガリガリと急速に削られていきます。
これに耐えられず、離婚をあきらめてしまう方も多くいらっしゃいます。
支配から脱却し、自分の人生を取り戻すため、弁護士が盾になります。
あきらめず、モラハラ案件を多数扱っている当事務所に、ご相談下さい。
共同代表弁護士 山口
この記事の執筆者
あい法律事務所
弁護士
山口 恭平(Yamaguchi Kyohei)
取扱分野
家事案件(離婚・男女問題、相続)
経歴
法政大学法律学科卒業後、早稲田大学大学院法務研究科に進学。卒業後、平成26年に弁護士登録。同年のぞみ総合法律事務所入所。平成29年にあい法律事務所入所。平成30年同事務所にてパートナー就任し現在に至る。